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ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開

平成30年8月7日経済産業省(デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会 ・座長:青山幹雄南山大学理工学部ソフトウェア工学科 教授)が公開したD X レポートを見ていたところDX推進がなぜ必要なのか、現状と課題、そして実現に向けたシナリオがわかりすかったのでご紹介させていただきます。

ITシステム「2025年の崖」とは

多くの経営者が、将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネス・モデルを創出・柔軟に改変するデジタル・トランスフォーメーション(=DX)の必要性について理解しているが・・・
・ 既存システムが、事業部門ごとに構築されて、全社横断的なデータ活用ができなかったり、過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化
・ 経営者がDXを望んでも、データ活用のために上記のような既存システムの問題を解決し、そのためには業務自体の見直しも求められる中(=経営改革そのもの)、現場サイドの抵抗も大きく、いかにこれを実行するかが課題となっている
→ この課題を克服できない場合、DXが実現できないのみでなく、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性(2025年の崖)。

DX推進の放置リスク

ユーザ:
 爆発的に増加するデータを活用しきれず、デジタル競争の敗者に
 多くの技術的負債を抱え、業務基盤そのものの維持・継承が困難に
 サイバーセキュリティや事故・災害によるシステムトラブルやデータ滅失・流出等のリスクの高まり


ベンダー:
 技術的負債の保守・運用にリソースを割かざるを得ず、最先端のデジタル技術を担う人材を確保できず
 レガシーシステムサポートに伴う人月商売の受託型業務から脱却できない
 クラウドベースのサービス開発・提供という世界の主戦場を攻めあぐねる状態に

DX実現シナリオ

2025年までの間に、複雑化・ブラックボックス化した既存システムについて、廃棄や塩漬けにするもの等を仕分けしながら、必要なものについて刷新しつつ、DXを実現することにより、2030年実質GDP130兆円超の押上げを実現。

DX先行実施:新たなデジタル技術の活用による新たなビジネス・モデルの創出
【2018~、できるものからDX実施】

ユーザ:
 技術的負債を解消し、人材・資金を維持・保守業務から新たなデジタ
ル技術の活用にシフト
 データ活用等を通じて、スピーディな方針転換やグローバル展開への対応を可能に
 デジタルネイティブ世代の人材を中心とした新ビジネス創出へ


ベンダー:
 既存システムの維持・保守業務から、最先端のデジタル技術分野に
人材・資金をシフト
 受託型から、AI、アジャイル、マイクロサービス等の最先端技術を駆使
したクラウドベースのアプリケーション提供型ビジネス・モデルに転換
 ユーザにおける開発サポートにおいては、プロフィットシェアできるパート
ナーの関係に

DXの推進に向けた対応策について

「2025年の崖」、「DX実現シナリオ」をユーザ企業・ベンダー企業等産業界全体で共有し、政府における環境整備を含め、諸課題に対応しつつ、DXシナリオを実現。

DXを実行する上での現状と課題

既存システムのブラックボックス状態を解消できない場合
① データを活用しきれず、DXを実現できず
② 今後、維持管理費が高騰し、技術的負債が増大
③ 保守運用者の不足等で、セキュリティリスク等が高まる

DXを本格的に展開するため、DXの基盤となる、変化に追従できるITシステ
ムとすべく、既存システムの刷新が必要。

課題

A) 既存システムの問題点を把握し、いかに克服していくか、経営層が描き切れ
ていないおそれ


B) 既存システム刷新に際し、各関係者が果たすべき役割を担えていないおそれ
• 経営トップ自らの強いコミットがない(→現場の抵抗を抑えられない)
• 情報システム部門がベンダーの提案を鵜呑みにしがち
• 事業部門はオーナーシップをとらず、できたものに不満を言う


C) 既存システムの刷新は、長期間にわたり、大きなコストがかかり、経営者に
とってはリスクもあり


D) ユーザ企業とベンダー企業の新たな関係の構築が必要
• ベンダー企業に丸投げとなり、責任はベンダー企業が負うケースが多い
• 要件定義が不明確で、契約上のトラブルにもなりやすい
• DXの取組を経て、ユーザ企業、ベンダー企業のあるべき姿が変化
• アジャイル開発等、これまでの契約モデルで対応しきれないものあり


E) DX人材の不足
• ユーザ企業で、ITで何ができるかを理解できる人材等が不足
• ベンダー企業でも、既存システムの維持・保守に人員・資金が割かれ、クラウド上のアプリ開発等の競争領域にシフトしきれていない

現状と課題に対する対応策

1 「見える化」指標、中立的な診断スキームの構築
経営者自らが、ITシステムの現状と問題点を把握し、適切にガバナンスできるよう、
• 「見える化」指標の策定
-技術的負債の度合い、データ活用のしやすさ等の情報資産の現状
-既存システム刷新のための体制や実行プロセスの現状
• 中立的で簡易な診断スキームの構築

2「DX推進システムガイドライン」の策定
• 既存システムの刷新や新たなデジタル技術を活用するに当たっての「体制のあり方」、「実行プロセス」等を提示
• 経営者、取締役会、株主等のチェック・リストとして活用
→ コーポレートガバナンスのガイダンスや「攻めのIT経営銘柄」とも連動

3 DX実現に向けたITシステム構築におけるコスト・リスク低減のための対応策
• 刷新後のシステムが実現すべきゴールイメージ(変化に迅速に追従できるシステムに)の共有(ガイドラインでチェック)
• 不要なシステムは廃棄し、刷新前に軽量化(ガイドラインでチェック)
• 刷新におけるマイクロサービス等の活用を実証(細分化により大規模・長期に伴うリスクを回避)
• 協調領域における共通プラットフォームの構築(割り勘効果)(実証)
• コネクテッド・インダストリーズ税制(2020年度まで)

4 ユーザ企業・ベンダー企業間の新たな関係
• システム再構築やアジャイル開発に適した契約ガイドラインの見直し
• 技術研究組合の活用検討(アプリケーション提供型への活用など)
• モデル契約にトラブル後の対応としてADRの活用を促進

5 DX人材の育成・確保
• 既存システムの維持・保守業務から解放し、DX分野に人材シフト
• アジャイル開発の実践による事業部門人材のIT人材化
• スキル標準、講座認定制度による人材育成